なぜまぶたが重いと感じるの?原因と解決策について

この記事の監修者
尾崎 峰
紀尾井町プラザクリニック 医師

杏林大学医学部形成外科・美容外科教授 日本形成外科学会認定形成外科専門医 医学博士

「まぶたが重くて物が見にくい」
「視界が狭くなった」

など、顔のお悩みとしてよく挙げられるまぶたの重み。
まぶたが重くなると視界に影響が出たり、目つきが悪く見られてしまったりとストレスを感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、まぶたが重くなる原因や解決策についてご紹介していきます。普段からまぶたの重さでお悩みを感じている方は、ぜひご参考にしてください。

まぶたが重くなる原因

私たちの視野を司っているのは「瞳孔(どうこう)」と呼ばれる黒目の中央部分ですが、これが上まぶたで隠れてしまうと、「視界が狭くなった」と感じてしまいます。
まぶたが重くなる原因はいくつかありますが、眼の病気や生活習慣の乱れによる可能性もあります。一体なぜまぶたが重くなってしまうのでしょうか。ここでは、まぶたが重くなる原因についてご紹介していきます。

眼瞼下垂

眼瞼下垂とは、上まぶたが垂れ下がった状態のことで、いつも眠そうに見えたり、肩こりや頭痛の原因になることもあります。

詳しくは後述しますが、左右どちらか一方のまぶたが重いなど、左右でまぶたの重さが違うような場合は眼瞼下垂である場合が多いです。

眼瞼下垂はさまざまな病気が隠れていることがありますが、多くの場合は加齢によるまぶたの筋力低下が原因です。
最近はコンタクトレンズの長期使用によって、若年層でも眼瞼下垂を発症する方が増加傾向にあります。

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皮膚のたるみ・脂肪の厚み

年齢を重ねると体内のコラーゲンやヒアルロン酸が減少していきます。肌の弾力の源であるコラーゲンなどが減少することにより、たるみが発生し、まぶたの重さに繋がっていきます。
さらに、加齢によるまぶたの筋力低下やスマートフォンの見過ぎなどによる眼精疲労から目元をこすりすぎると、まぶたの皮膚が伸びてしまうことがあります。その部分がたるみとなり、まぶたが重く見えてしまう場合があります。この場合、腫れぼったいというより、目尻から垂れているような重さが特徴です。
まぶたを強くこすったり、コンタクトを付ける際などに引っ張ったりする行為が続くだけで皮膚が伸びてしまうので、注意が必要です。

また、顔に脂肪が多くまぶたが腫れぼったい方は、脂肪の厚みが原因でまぶたが重く見えてしまいます。特に日本人は欧米人に比べるとまぶたの皮膚や脂肪が厚めと言われています。

ドライアイ

ドライアイによりまぶたの裏側にある結膜が乾くと、まばたきをする際の摩擦が強くなり、まぶたの筋肉へ負担がかかります。 これが長期に続くと、まぶたを持ち上げる眼瞼挙筋という筋肉が弱まり、眼瞼下垂になってしまうことがあります。

ドライアイは、さまざまな要因によって涙の分泌量の減少や涙の質の低下を引き起こす状態のことで、正式には「乾燥性角結膜炎」と言います。

ドライアイは大きく分けて「涙の量的な異常」「涙の質的な異常」の2つに分類されます。
「涙の量的な異常」は涙の量が減ってしまうことで、涙の分泌そのものが少ない状態のことを指す一方で、「涙の質的な異常」は涙の成分の異常によって、涙を保持する能力が変化することを指します。

眼球上の涙は油層、水層、ムチン層から成り立っていて、それぞれのバランスが涙の安定性を保っています。しかし、このバランスが崩れると、涙が蒸発しやすくなってしまうことがあります。

ドライアイの原因は環境によるものや加齢、病気によるものなど、さまざまなものがありますが、特に環境要因が大きいと言われています。
パソコンやスマートフォンなどの画面を見続けることによってまばたきが減ることや、冷暖房によって室内が乾燥することなどが影響します。

また、涙の分泌量は自律神経に支配されており、リラックス時に優位になる副交感神経は涙を分泌させ、緊張時に働く交感神経は涙の分泌を抑制する働きがあります。
さまざまなストレスを抱えやすい現代人は交感神経が働きやすく、涙の分泌が抑制されやすいと考えられています。
また、最近ではドライアイによって視力が低下するとも言われています。

以下のような症状がある場合、ドライアイの可能性があります。

・目が疲れる
・目がゴロゴロする
・目が乾く
・目に不快感がある
・目が充血している
・目がヒリヒリする
・朝、目が開きにくい
・目が時々かすんで見える
・白っぽい目やにが出る など

睡眠の質の低下

厚生労働省が行った調査によると、睡眠が十分に取れていない人の割合は、男性が19.7%、女性が19.6%にも上るそうです。つまり、日本人の5人に1人は睡眠の質が悪いという結果になります。
睡眠の質が悪くなる原因は人によってさまざまですが、大きく関係しているのは生活習慣、ストレス、寝室環境の3つです。
これらの改善方法については、後ほど詳しく解説します。

質の悪い睡眠を続けていると、慢性的な睡眠不足に陥り、精神機能や免疫力の低下を引き起こします。
「寝不足で頭がぼーっとしている」と感じたことのある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
脳が十分に働かず、集中力や判断力、記憶力の低下にもつながります。

また、私たちが寝ている間、体内では免疫細胞が活発に活動するほか、傷ついた細胞を修復する成長ホルモンの分泌が盛んに行われています。
睡眠不足は自律神経のバランスを乱し、免疫機能を担う白血球の働きを低下させる要因になります。

こうした要素が重なると、麦粒腫(ものもらい)などの発症リスクが高まり、目のかゆみやゴロゴロするといった症状のために目をこすり過ぎてしまい、まぶたが重くなってしまう場合があります。

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眼瞼下垂について

眼瞼下垂とは、まぶたが垂れ下がり、目が開けづらくなるような状態のことをいいます。

眼瞼下垂は大きく三つに分類することができます。一つ目は生まれつきの眼瞼下垂、二つ目は大人になってからなる眼瞼下垂、三つ目は眼瞼下垂に見えるがまぶたを挙げる筋肉や腱には異常のない偽眼瞼下垂です。

一つ目の生まれつきの眼瞼下垂のほとんどは「単純性眼瞼下垂」といわれるもので、まぶたを持ち上げる筋肉である眼瞼挙筋が生まれつき弱く、機能していない状態のことをいいます。

二つ目の大人になってからなる眼瞼下垂のほとんどは加齢の影響によるものです。
まぶたを上げる筋肉である挙筋腱膜やミュラー筋が、ゴム紐のように徐々に緩み、まぶたが下がった状態です。
眼瞼下垂の中で一番多いのが後天性腱膜性眼瞼下垂症と呼ばれるもので、眼瞼挙筋腱膜と瞼板軟骨との接着が外れてしまったり、眼瞼挙筋腱膜が過剰に伸びてしまったり、断裂したりする状態のことをいいます。

三つ目の偽眼瞼下垂は、まぶたを挙げる筋肉や腱自体には問題はないが、加齢などによって皮膚がたるむことでまぶたが下がって見える状態です。

人の体は、脳からの命令が神経を介して伝わり、筋肉が動き、筋肉の力が腱を介して骨に伝わることで動きます。まぶたに置き換えると、脳がまぶたを開けと言う指令を出し、動眼神経から眼瞼挙筋、眼瞼挙筋腱膜へと伝わり、瞼板(軟骨)からまぶたと伝わっていきます。
眼瞼下垂は、この経路のどこかで障害が起きてしまい、まぶたが挙がらなくなる状態のことをいいます。

単純に眼瞼下垂といっても、経路のどこに障害が起きているかによって病態に違いがあり、病態によって手術の内容が変わってくるので、正しく現在の状態を理解することが大切です。

紀尾井町プラザクリニック_まぶたのたるみ01

眼瞼下垂の初期では、まぶたが下がり、二重の幅が広がります。加齢による眼瞼下垂の場合は、徐々に下がってくるため、自覚症状がないことが非常に多いです。

軽度~中等度では、まぶたが黒目にかかるようになり、さらに二重幅が広がります。上の方の視野が狭いという自覚やまぶたが重い、開けづらいという自覚症状が出てきます。また、まぶたの下がりを補うためにおでこの筋肉を使ってまぶたを挙げるようになるため、おでこにしわが寄ったり、眉毛の位置が上がることがあります。

重度になると、黒目はまぶたで半分以上隠れるようになってしまいます。そうなると、上方の視野が狭い、まぶたが重い、開けづらいといった自覚症状を強く感じるようになります。また、おでこの筋肉を常に使ってまぶたを上げているため、頭痛や肩こりが出てくることがあります。さらに、無意識にあごを上げて物を見るようになり、常にあごを前に出したような姿勢になってしまいます。

黒目の中心から上まぶたまでの距離の目安は、正常の場合は約4㎜、軽度~中等度の場合は2~4㎜、重度の場合は2㎜以下になります。

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「眼瞼下垂」に、なりやすい年齢

生まれつき筋肉が弱くまぶたが下がっている場合を「先天性眼瞼下垂」といいます。8%の子供が何らかの先天性眼瞼下垂を持っていると報告している論文もあります。

それ以外では、加齢により筋肉の働きが弱まることが原因のことが多く、40歳以上で眼瞼下垂の方の割合は13.5%。70歳以上の3分の1が眼瞼下垂というデータもあります。

また、コンタクトレンズ装着者はまぶたに触る機会が多いため、眼瞼下垂になりやすいことが分かっています。

汗をかいたり、顔に汚れが付いたりした後に顔をこすることが多いためか、オフィスワーカーよりも屋外でお仕事をされる方のほうが眼瞼下垂になりやすいというデータもあります。

さらに、高血圧や糖尿病など、動脈硬化を引き起こす生活習慣病によって眼瞼下垂になる確率が高くなるというデータも出ています。

「眼瞼下垂」の代表的な症状

以下が、眼瞼下垂の代表的な症状です。

・まぶたが重く目が開けづらい
・加齢によってまぶたがたるんできた
・上が見にくい
・眠たそうな印象に見られる
・眉の位置が高くなり、目と眉の距離が広くなった
・頭痛、肩こりがある(下がったまぶたを上げるために、おでこの筋肉を常に緊張させているため)
・おでこにしわが寄る

眼瞼下垂は徐々に進行していくものであり、加齢による組織の変性が進むにつれて、眼瞼挙筋が萎縮し機能が低下してしまったり、眼輪筋や皮膚も繊維化が進んで固くなるため、手術の難易度が上がっていきます。そのため、早めの対策が大切です。

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重いまぶたを軽くするには?

目の体操をする

パソコン作業を長時間行うと、自然とまばたきの回数が減り、目が乾いたり、目の奥が重くなったりします。目の疲れから肩こりなどさまざまな症状に進展することもあります。

パソコンなどの目を使う作業をするときは、これからご紹介する目の体操を定期的に行うようにしましょう。

・右眉を見つめる。視線を戻して左眉を見つめる
・右頬を見つめる。視線を戻して左頬を見つめる
・右耳を見つめる。視線を戻して左耳を見つめる
・髪の生え際を見つめる。視線を戻して顎を見つめる

それぞれを3秒間、1セット3回、目の疲れを感じたときに行うと効果的です。
顔は正面に向けて動かさず、視線だけを送ることがポイントです。

また、蒸しタオルで目の周りを温めることもおすすめです。
目の周りを温めることで目周りの血流が良くなり、筋肉がほぐれるため、疲れた目をリラックスさせることができます。
蒸しタオルの作り方は、濡らしてから電子レンジで45秒程度加熱するだけなので、とても簡単です。
目を閉じて、まぶたの上に5分程度乗せると良いでしょう。

睡眠の質を高める

睡眠の質を高めるためには、生活リズムを整えることと、自分に合った寝具選びをすることが大切です。

私たちの体には太陽の動きや四季の巡りといった自然のリズムに呼応した「生活リズム」が備わっています。この体内時計が備わっていることで、日中は活動モード、夜は休息モードへと自然に切り替わるようになっています。

強いストレスなどによって体内時計が狂ってしまうと、生活リズムが乱れ、心身に不調をきたしてしまいます。
そのため、朝は太陽の光を浴びて体内時計を目覚めさせ、栄養が豊富な朝食を摂って体内時計を正しく動かしましょう。

さらに、就寝中の発汗や温度変化に対応できるよう、吸湿性や放湿性に優れた寝具を選ぶことはもちろん、自分の体型に合ったものを選ぶことが重要です。

特に枕は高さが合わないと首や肩が凝ったり、朝起きたときに疲れが残ってしまう原因になってしまいます。寝具メーカーで計測するなどし、自分に合う高さの枕を選びましょう。

眼瞼形成手術を受ける

重いまぶたを軽くする眼瞼形成手術として、「眼瞼下垂手術」「まぶたのたるみ取り」が挙げられます。手術と聞くとハードルが高いように聞こえてしまう方もいるかもしれませんが、一番効果が期待できるものが、眼瞼形成手術です。
それぞれ異なる手術方法のため、ひとつひとつの手術の特長についてしっかりと理解した上で、ご自分にとって最適な方法を選びましょう。

重いまぶたを軽くする眼瞼形成手術

眼瞼下垂手術(眼瞼挙筋短縮術)

二重のラインに沿って切開し、まぶたの伸びている部分を切り取り、腱膜の長さを短くして縫合することでたるんだまぶたを引き上げる手術です。
部分麻酔で行うため、日帰りで手術が可能です。視野が広がるだけでなく、眼瞼下垂と併発した肩こりなどにも有効です。目の印象が変わることが多いので、手術前からイメージしておくことが重要です。
ダウンタイムは1週間程度で、痛みや腫れ、内出血といった症状が起こります。1週間後に抜糸を行うまでは、長時間の入浴や激しい運動を控える必要があります。

(眼瞼下垂修正術詳細はこちら)

脂肪の厚みを解決する「脱脂」

まぶたの内側を数㎜ほど切開し、脂肪を取り除く手術です。
術後1週間ほどは腫れや内出血などのダウンタイムがありますが、脂肪を除去することでまぶたの腫れぼったさを解消することができます。
しかし、脂肪を取り過ぎてしまうとくぼみ目になるリスクがあり、しっかりと目元の状態を確認したうえで手術を行うことが大切です。
(脱脂詳細はこちら)

まぶたのたるみ取り

まぶたの筋肉や神経に問題がないが、まぶたの皮膚が目に覆いかぶさって見えにくいという場合、たるんだまぶたの皮膚を切除することで、たるみを解消することができます。
傷は眉毛の下や二重ラインなどに沿ってできるため、最終的にはほとんど目立たなくなります。
まぶたの局所麻酔で行い、手術は30分~1時間程度で終了します。大きな腫れは3日~1週間程度で落ち着きますが、完全にむくみが取れるまでは1ヵ月程度かかります。約1週間後に抜糸を行います。

紀尾井町プラザクリニック_まぶたのたるみ04

まとめ|まぶたの重み・眼瞼下垂のことなら「紀尾井町プラザクリニック」へ

この記事では、まぶたが重くなる原因や解決策についてご紹介しました。
重くなったまぶたを軽くするためには、目の体操や睡眠の質を高めるといったセルフケアのほかに、眼瞼形成手術も効果的です。セルフケアによる改善は簡単に取り組むことができますが、効果が現れるまでに時間がかかったり、思うような効果がなかなか得られないことがあります。短期間で効果的にまぶたの重さを改善したい方は、日帰りで受けることができる眼瞼形成手術がおすすめです。
紀尾井町プラザクリニックでは大学病院教授クラスの日本形成外科学会認定形成外科専門医、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医が、まぶたの重みやたるみの原因をしっかりと分析し、ひとりひとりに合った最適な施術を行います。手術の場合は痛み・内出血・腫れに最大限配慮し、痛みの軽減のために点眼の予備麻酔や極細の注射針を使用して麻酔を行います。カウンセリングは無料となっており、まぶたの重みを解消したい方は、まずはお気軽にご相談ください。